過去にとてもつらい経験をし、それが今になっても心をしめつけて、苦しんだり、悩んだり、傷を負ってしまった方もいるのではないでしょうか?
その心に付いた傷は、ご存知だと思いますが「トラウマ」と呼ばれています。トラウマは日本語にすると「心的外傷」という意味で、その言葉の通り心のキズです。
体についたキズなら、目で見ることができますし、傷の大きさやダメージについて自分でも、そして周りの人も見ることができるので、優しくしたり、または優しくしてもらったりと理解してもらいやすいですよね?
ですが、心の傷は目に見えないので、心の状態やダメージが見えにくく、なかなか傷の痛みや苦しみを理解してもらいずらいこともありますよね?それもトラウマが心を苦しめる要因のひとつになっている方も多いかと思います。
今回はその見えずらい心の傷「トラウマ」がどのようなものなのか?を説明していきます。
1.トラウマの症状
トラウマの原因となっている嫌な経験が小さなものであれば、体のかすり傷が治るように時間と共に治ったり、または自分の考え方と向き合って、トラウマも自分の成長のための良いとして捉えて克服できることもありますが、
大きな傷の場合、例えば、災害や事故、暴力被害、DVなど「死んでしまうかもしれない」と感じるようなショックが大きい場合は、治療しないまま時間が経過していくと傷が悪化して深刻な症状を引き起こすこともあります。
深刻なトラウマが生じた場合の特有の反応を「トラウマ反応」といいます。ではどのような症状が出るのか?具体的な例を3つ紹介していきます
フラッシュバック(侵入症状)
トラウマ反応の具体例の1つはフラッシュバック(侵入症状)というもの。これは思い出したくないのに、その出来事や関係することを勝手に思い出したり考えたりしてしまったり、その辛かった出来事や、その時と同じような感覚になるような悪夢を繰り返し見る症状です。
過覚醒
過覚醒の症状が起きると、夜になかなか眠れず何度も目が覚めてしまい「不眠症」になってしまったり、ちょっとしたことに極端に反応すして「イライラ」する、警戒心が強くなって大きな音に敏感になってしまうといったことが起きます。
回避・麻痺
回避・麻痺は、傷ついた原因となった出来事に対して、考えたり話したりすることを避けようとする、そのことを思い出させる事や物、状況を極端に避けるといったこと。
辛い出来事を忘れるために心を捨てるといった感じで、興味や関心が薄れ、周囲からの孤立感を感じ、感情が麻痺したように感じられるようになります。
2.トラウマの症状が出た時は
辛い出来事がおきた時や、強いストレスがかかった後は心も体も緊張している状態が続くので、一時的に上記のような症状がみられることはよくある自然なことでもあります。状況が落ち着き、安心感を取り戻せる環境の中にいられれば、徐々に症状は落ち着いていくことが多いです。
ですが起こった出来事の恐怖感が非常に大きかったり、大切な人を失ってしまったり、辛い出来事が起きたその後の環境で安心感を持て過ごすことができない、などの要因が重なってしまうと、症状が強い状態が長く続いていてしまい、日常生活に支障が生じているようであれば、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という状態になっている可能性もあります。
もし、そういった状態であれば、精神科・心療内科や公認心理師・臨床心理士などの専門家へ相談した方がよいかもしれません。
また保健所や市町村の保健センター、精神保健福祉センターなどの行政機関にもPTSDの克服に関する相談ができる窓口があります。
まとめ
生きていれば辛い経験をすることは、誰にでも訪れることで、それを自分の成長のための経験として捉えて克服しながら前に進める場合もありますが、
大きな傷が残ってしまうような苦しく辛い経験は、悪化して深刻な症状を引き起こすこともあります。そのような時は、いちど専門家の人へ相談することをお勧めします。